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ホテルをAIで探す時代は本当に来たのか?3ステップで読み解く行動変化

小林実可子
CHILLNN. Inc
ホテルとAI検索の記事のサムネイル。

[ サマリー ]

「ホテルをAIに聞いて探す」旅行者が急速に増えています。

複数の調査を横断すると、この変化は「検索」「意思決定」「予約」という3つのステップで段階的に進んでおり、どのように変わったのかは層ごとに大きく異なることが見えてきました。

AI検索が「旅行の入口」として広がりつつある今、宿泊施設にとって何が変わっていくのかを整理しました。

[ この記事でわかること ]

旅行×AI検索は国内外で利用拡大が進んでいる

旅行者の行動変化は「検索→意思決定→予約」の3層に分けて起きている

ホテル・旅館が今すぐ着手できるのは「意思決定」の情報補強

「ホテル探し×AI検索」に存在する3つのステップ

web検索、予約サイト(OTA)、Google map、YouTubeにinstagram…旅程決め・ホテル探しには様々な方法があるなか、3人に1人はすでに旅行計画においてAIを活用しているという調査結果があります(宿研、2025)。

彼らはどのようにAIを使っているのでしょうか?複数の調査を横断すると、生成AIを使ってホテルを探す旅行者の行動は「検索」「意思決定」「予約」のステップに分けられること、そしてステップごとにそれぞれ異なる変化が起きていることが明らかになりました。

【1st STEP】検索行動:もっとも変化が進んでいる

変化がもっとも速く進んでいるのが、情報収集の入口です。

2025年に7万人を対象に行われた調査(Hakuhodo DY ONE 次世代検索研究所 piONEer、2026)によれば、ChatGPTのアプリセッション数は1年間で約2.5倍に成長し、Googleアプリ検索の約4分の1に迫りました。加えて、Google検索結果に表示されるAI Overviewsの出現率は半年間で約4倍に増加し、11月時点で全体の32%を占めています。

つまり、旅行者がどの入口から情報収集を始めても——ChatGPTでもGoogle検索でも——AIが最初に答えを返す機会が着実に増えつつあるのです。

【2nd STEP】意思決定:変化の途上

意思決定のプロセスも変わり始めています。

これまでの旅行者は、複数のOTAや比較サイトを自ら巡り、立地・設備・価格を見比べて宿を選んでいました。そんな能動的比較による意思決定から、AIから出てきた候補を起点に比較する意思決定へと移行しつつあります。

2026年4月に公表された海外調査(Expedia, 2026)では、旅行者の53%がAIによる旅行先候補の選択肢を提案させることに抵抗がないと回答。国内の調査(宿研、2026)でも、AIの推薦が何らかの「新しい発見があった」と回答した人が全体の84.1%を占めています。

ですが注目すべきは、そのうち82.1%が旅行者自身でも追加の情報収集をしていた点です(宿研、2026)。またAIが提案したホテルを訪問したのはAIを利用する人の半数以下で、飲食店・観光スポットをAIに提案してもらった場合よりも低い結果でした。

なぜだったのでしょうか。調査では、主な理由として、「口コミ・レビューが少ない/不安」「施設情報が不足している」が上位に挙がりました。泊まる場所というのは飲食や観光スポットに比べて必要な費用も時間も大きいため意思決定のリスクが高く、AIが候補を出しても、それを裏付ける第三者の声や詳細情報がなければ旅行者は踏み切れません。AIの推薦はあくまでも候補に入るための新しい手段でしかないのです。

逆に言えば、AIが「選択肢を出す役割」を担い、web検索が「その選択を検証する場」へと役割分担が変化しているとも考えられます。AIが検索の上流に立ち、web検索はその下流になった——これが意思決定層で起きている構造変化です。

【3rd STEP】予約行動:まだ変化は限定的

変化が最も遅いのが「予約」の場面です。

旅行者の4分の1~3分の1がAI上で旅行を予約することやAIアシスタントに予約を代行させることに興味を示しているという調査結果(Phocuswright, 2025)がある一方で、AIに旅行の予約まで任せることに抵抗がない旅行者はわずか8%にとどまるという結果もあり(Expedia Group、2026)、関心はあるものの実行には踏み切れないと推察されます。

この予約ハードルには、AIエージェント自体への不安があると考えられます。

調査によれば、68%以上が「AIエージェントより信頼できる旅行ブランドで予約したい」と答えており、49%が最終的な予約はオンライン旅行代理店(OTA)を利用しています(expedia, 2026)。背後にあるのは、主に「意図どおりに動くか分からない」という不安、個人情報・決済情報をAIに預けることへの懸念、そして入力した旅行情報が別目的に使われるリスクへの根本的な不安だと調査では結論づけられています。

【まとめ】起きているのは「AIとの段階的な共同作業」

これら3ステップの比較が示すのは、現在旅行者が行っているのは「AIへの丸投げ」ではなく「AIとの協働」だということです。AIは発見と候補絞り込みに使われ、最終的な予約は人の目を通した後にOTAや公式サイトという信頼できる窓口で完結するというユーザー行動が普及しています。

この変化がホテルにとって意味することは何でしょうか。それは、AIの推薦する候補に入ることが、比較検討のテーブルに載るためにますます重要になっていくであろうということ。 そしてAIの候補に入っても、口コミの薄さや情報不足があれば人の眼により弾かれること——この2段階のふるいを通過して初めて、予約につながるのです。

ホテルが今すぐ着手できる3つのこと

具体的に取れるアクションを3つご紹介します。

1. 自施設の"AI上の見え方"を確認する ChatGPT・Gemini・google AI Overviewに「〇〇(エリア名)のおすすめホテル」「◯◯(ホテル名)ってどんなホテル?」などと実際に質問し、自施設が登場するか・どう紹介されているかを確認しましょう。登場しない場合、AIが参照しているソース(OTA掲載情報・公式サイト・レビュー)のどこに情報の薄さがあるかを特定することが出発点になります。

2. 「問いに答える形」で施設情報を整備する AIは旅行者の自然言語の問いに答える形で宿を推薦します。「記念日に泊まれる温泉旅館」「駅から宿への送迎あり」「おひとり様/お子様も歓迎」のように、旅行者が実際に問いかけそうな文脈で施設の特徴を公式サイトやGoogleビジネスプロフィールに記述することが、AI引用と、さらに人間による検証も乗り越える確率を高めます。

3. レビューの質と対話を継続的に管理する たとえAI推薦で候補にあがっても、人の目でみたときに魅力や安心感がなければ選んでもらうことはできません。口コミへの丁寧な返信・感謝のメッセージや、予約動線を整えることが、旅行者自身にとっての「信頼性のシグナル」になります。

FAQ

Q. AI検索でホテルを探す旅行者は、OTAを使わなくなるのですか? A. 少なくとも現時点ではそうではありません。68%以上の旅行者がAIではなく「信頼できる旅行ブランド(OTAを含む)」で予約することを好むという調査結果があります(Expedia、2026)。AIは「発見・比較」に使われ、予約はOTAや公式サイトで完結する分業構造が現在の標準であると考えられます。OTA掲載の重要性は変わりませんが、その前段の「AI上での存在感」が新たに必要になっている構造です。

Q. 旅行計画でAIを使う旅行者は、どんな層が中心ですか? A. 以前は若年層(10〜20代)が中心でしたが、2025年11月時点では40〜60代の利用者が大幅に増加し、世代差がほとんど消えているという調査結果があります(Hakuhodo DY ONE 次世代検索研究所 piONEer、2026)これはAI検索が「若者のツール」ではなくなったことを示しています。AIO対策により、旅行において購買力の高い中高年層にもリーチすることが可能です。

Q. 公式サイトとOTAのどちらをAIO対策の優先度として高くすべきですか? A. 両方が重要ですが、AIが参照するソースの多くはOTA(TripAdvisor、Booking.comなど)であることが自社調査(CHILLNN AI Lab,2026)含む複数の調査で確認されています。短期的にはOTAの掲載情報(説明文・写真・口コミ)の充実が最もインパクトが大きい施策です。中長期では公式サイトの内容面・技術面のコンテンツ整備も並行して進めることで、AI・人間双方に選ばれる可能性が高まると考えています。

締め

「検索行動」「意思決定」「予約行動」——旅行の3つのステップで、AIの影響は異なるスピードで進んでいます。検索はAIの進出が進みつつあり、意思決定はAIと人の共同作業。予約はまだハードルがあるようです。

だからこそ、今のうちにAIに信頼される情報づくりが未来の旅行者との出会いを生むことになるでしょう。変化の波は、すでに宿泊業界に届きはじめています。

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参考文献

AIOLab

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